東北大学大学院 情報科学研究科 情報基礎科学専攻 小林・住井研究室

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インタビュー 小林 直樹 教授

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インタビュー

小林 直樹 教授

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  1. 経歴を簡単に教えてください

    東大の情報科学科(現在の情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻)を出てそのまま教員になり、東工大を経て2004年に東北大に移りました。

  2. どんな研究をしていますか?

    プログラミング言語全般ですが、最近は主にプログラムの検証ですね。MLの型推論の概念を発展させて、普通の型推論では扱えない性質(例えば開かれたファイルがいずれ必ず閉じられるかとか、パスワードなどの機密情報がプログラムによって漏洩されないかとか、並行プログラムでデッドロックが起きないかとか)を検証できるような理論を考え、それに基づく検証器を作っています。

  3. プログラミング言語の研究分野の魅力や夢を語ってください

    研究室のホームページの「プログラミング言語の研究への薦め」にも書きましたが、プログラミング言語の研究は奥が深く、ソフトウェアの研究の中でも王道だと思います。実は学部4年のときは最初人工知能に興味があって自然言語処理の研究をやろうとしたんですが、心理学などの要素も多くて数学や自然科学が好きなぼくにはあまりなじめませんでした。それに対してプログラミング言語の研究は理論的に筋が通っていて、それが実際に役に立つというところが面白いですね。
    夢というか当面の目標としては、自分の理論が組み込まれた検証器が実際に重要なソフトウェアの検証で普通に使われるようになることですかね。それによって最近よく起こっているソフトウェアの不具合による事故が減っていけばと思います。

  4. これまでの研究生活で印象に残っていること、あるいは研究してきてよかったと思うことは何ですか?

    学生時代に何度か海外出張に行かせてもらったのですが、アメリカの某企業の研究所を訪問して現地の研究者と英語で議論したときのことが強烈に印象に残っていますね。自分の意見を遠慮無くどんどんぶつけて議論するというスタイルにカルチャーショックを受けました。日本人だと喧嘩をふっかけられているかのように感じてしまいがちですが、ディベートのような感じでどんどん意見を闘わせて新しいアイデアを産み出していくんですね。
    もう一つ印象に残っていることは、いい研究成果がでたりいい発表をすると、きちっと認めてもらえるということですかね。そういうときは会議で発表した後に自然に人が集まっていろいろ質問してくれます。ビジネス(あるいは政治とか:-))の世界のライバル同士ではなかなかそうはいかないかもしれませんので、その辺りがアカデミアの世界のいいところかもしれません。
    他に研究してきてよかったことといえば、世界中のいろんな研究者と知り合ったりいろんな国を見る機会があることですかね。最近よく思うのですが、人間は自分の置かれている環境によって鍛えられるところが多いと思います。だからこういう国際的に活躍できる場に身をおいていることは自分の成長にとってよいことだと思います。

  5. 東北大生の印象は?また、学生に期待することは何ですか?

    東大生、東工大生を見てきて思うのですが、東北大は東大と違って天才肌の学生が少ない反面、こつこつと地道に頑張る人が多いように感じます。東大生は挫折を知らないで育ってきたからか、何かあるとぽきっと折れたりあきらめてしまったりする人が結構多いんですよね。それに対して東北大生の方が打たれ強いというか我慢強く頑張り通す人が多いように思います。
    例えば研究室のS君は10年以上前に発表されている論文の間違いを見つけ、こつこつとその原因を分析してくれました。おかげでその論文の間違いを修正すると同時にこれまで知られていなかった新しい結果を一緒に得ることができました。S君はその結果などによって学会から賞を受けたり海外で発表したりして活躍しています。
    学生に期待することと言えば、上に書いたような東北大生の特徴を行かし、自分で決めた目標に向かってこつこつと頑張り通してほしいですね。あと、自分が年をとってから思うのですが、若いときに難しい学問を勉強しておいた方がいいと思いますね。ぼく自身、大学4年間のうちの半分くらい授業をさぼって遊んでいたことを、今になって後悔しています。簡単なことは後からいくらでも独学で学ぶことができるので、時間がある学生の間はぜひ自分が難しいと思う学問に積極的に挑戦してほしいですね。

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